連日のようにニシキヘビやらキングスネークやらイグアナやらサソリやらペットの脱走事件・追跡劇がマスコミを賑わしていますが、「ヘビのペット」は理解に苦しみます。はっきり言いますが、私は獣医でもヘビは苦手。
トラウマあり。
十数年前の、とある日曜日。玄関ドアを開け放して通路や庭先の掃き掃除。
一段落して、ヨッコラショと玄関框に腰を下ろし、何の気なしに横を見ると、すぐ横に1mは楽にあろうかと言うアオダイショウがとぐろを巻いていて、眼と眼が合ってしまったと想像して下さい。
「ギャ~~、ヘビ~~~~」と、絹を裂くような悲鳴を上げて、外に這い出ましたっけ。腰が抜けると言う感覚をはじめて体験しました。
居合わせた主人が竹ぼうきで追い出してくれましたが、心拍数が正常に戻るまでの時間の長かったこと。
トラウマです。
騒動はそれで収まらず。お隣の奥様が私の声を聞いて、食卓の上に飛び上り、数時間下りられなかったそうです(この姿は想像してはダメですよ)。
その当時、このあたりは、山あり谷あり沼地あり、雑木林が広がっていて、ワンコの散歩をすると必ずと言って良いほどヘビ君に遭遇したものです。
しかし、あれほど普通にいたヘビ君達にも最近ではトントお眼にかかれなくなってしまいました。
木々を切り倒し、丘を削り、谷を埋める造成工事は、ヘビ君達には過酷な環境変化なのでしょう。
先住民に敬意を表し、みなみ台で見たヘビ4種(アオダイショウ、ヤマカガシ、シマヘビ、ジムグリ、以上いずれもナミヘビ科に属す)について調べてみました。
我慢して、写真も出しちゃいましょう。
なにしろトラウマが癒しきれていないのですから。
①アオダイショウ:
体長2m近くなる日本最大のヘビ。オリーブ色に薄い4本の縦条。人家付近にも多いために目にする機会も多い。縁起の良いヘビとされている。野鳥の巣を狙うのはやめていただきたいです。
②ヤマカガシ:
体長70~150cm。褐色の地色に黒い斑紋と赤、黄、深緑が混ざるカラフルな体色。滅多にかみつかず、おとなしいのですが比較的強い毒を持っていることが知られています。実際に咬傷で亡くなった方もいるようです。また、首筋から毒を分泌し、これが目に入ると失明をするおそれもあるそうです。手を出さない方が無難です。
③シマヘビ:
体長80~180cm。この辺で最も普通のヘビ。体色は黄褐色から褐色で4本の明瞭な縦条が特徴。水辺などカエルが多いところ、草むら、林内等に住む。結構気の荒いヘビで、捕まえようとすると咬みついてきます。ヒトを見るとスッと草むらに隠れる。本当は臆病で平和的?
④ジムグリ:
体長70~100cm。よく穴に潜るのでこの名前が付いた。淡黄~赤褐色の体色で青みがかった小班点が散在。腹面も同様の色で、市松模様に黒色斑がある。非常におとなしい性質で咬むようなことはない。
「日本動物大百科5、両生類・爬虫類・硬骨魚類:平凡社」をもとに作成
「診察室の壁新聞」のネタが全くなくなってしまっても、この生き物、コウガイビルだけは取り上げまいと心に決めていました。
でも、先日、パピオン君の飼い主さんから「駐車場でみたグロテスクで不思議な生き物」の質問を受け、それがコウガイビルであることを認めざるを得なかった時から、さらに毎夜恒例の愛犬コーちゃん、ノンちゃんとの散歩の途中で、久しぶりに実物に遭遇してしまった瞬間から、まるで強迫神経症患者のように、キーボードに「コウガイビル」と打ち込んでいる私がいました。
皆様にとっては、馴染みのある生物ではないでしょうが、コイツはそれほどにもインパクトのある生き物なのです。
分類学上は、扁形動物門に属し、ゴカイ(釣り餌のあれ)やプラナリアに近い生物です。コウガイビルの名前の由来は「頭の形が笄(こうがい。昔、婦人がまげに挿して飾りにした)に似ている蛭」ですが、蛭とは言っても、血を吸う蛭とは別ものであり、動物や人の血は吸いません。
みなみ台周辺をうろついているコウガイビルは、オオミスジコウガイビルという種類で頭の巾が1cmくらい、体長は10cmから1メートル(見たら絶対ビックリしますよ)くらいまでバリエーションがあります。
何しろ、縮まっている時と体を伸ばした時の差が大きすぎるので、どの状態を以って体長と言うのか???です。
体はとても軟らかく、簡単に千切れますが、千切れた尻尾からは頭が、頭からは尻尾が再生する能力があります。さすがはプラナリアの仲間。
コウガイビルの専門家(世の中にはいるんですね。)は「背面に縞模様や横班模様を持つ美しい種類が多い」と本などに紹介していますが、「美しい」と表現できる寛容な心?を尊敬しちゃいます。
この辺でよく遭遇するコウガイビルスポットは、岩川沿いの遊歩道で、出没する時期・時間帯は梅雨時から夏の雨上がりの深夜です。
興味のある(怖いもの見たさ?)方は懐中電灯を持って、カメラつき携帯も忘れずにレッツゴー。画像を送ってください。
コウガイビルの口は頭部ではなく腹部にあり、食べ物となるミミズ、ナメクジなどに絡み付いて、消化液を吐き出して溶かしながら食べるそうです。
私は食べている現場は見ていませんが、動物看護士のSさんは目撃したことがあるそうです。
確かに、かなりキモイ生き物ですが、みなみ台の先住民であることに変わりはありません。
益々開発が進むみなみ台はひっそりと、遠慮がちに生き続けているコウガイビル君たちにとって住みにくい場所になりつつあるのだと思います。
不幸にして、彼に遭遇してしまったとしても、驚かず、驚かさず、「見なかった振り」で通り過ぎるのが、人畜無害なコウガイビル君への思い遣りだと考えるのです。
当院の南隣のブロックに1年前から建築中だったマンションがとても美しく、立派に完成し、160世帯ものご家族が入居されました。
建築に先立ち、整地のためパワーシャベルが入りましたが、葛(クズ)が生い茂っていたため、掘り返された現場には葛の根がたくさん捨てられていました。
私のダンナはもったいないからと、夜陰に乗じて持ち帰り、葛粉の抽出を試みました。
葛の語源は、奈良県吉野郡の国栖(くず)から来ていると言われています。
そこには国栖人と呼ばれる帰化人が住んでいて、彼らは、そこに群生している蔓草(かずらぐさ)を食用にしたり、その繊維を使い織物を作ったりと、大変重宝していました。それで「国栖人が使う、つる性植物」がいつしか「くず」へと変化したそうです。
葛粉は良質の澱粉であり、食用にはもちろん、風邪薬としての葛根湯は最も汎用される漢方薬ですし、花を用いる葛花解醒湯(かっかかいせいとう)は二日酔いに効能が認められています。
残念ですが、獣医さんが薬として使う機会は殆どありません。
ともあれ、葛は人の役に立つのでエライのです。
澱粉は「水中で沈殿する粉」のことですから葛粉の取り出し方は、
①葛の根を洗う
②金槌で叩いて、根の繊維をばらばらにし、繊維の間に含まれる澱粉が出易くする
③叩いた葛の根を水の中に数日漬けて置く
④葛の根を取り出し、上澄み液を捨てる
⑤底に沈殿している葛粉を含む泥状のものに水を加えかき回し、数日間放置
⑥上澄み液を捨て、沈殿している葛粉を取り出す
⑤、⑥の作業を数回繰り返し、純白の半個体になったら乾燥させて完成。
両手で抱えきれないほどの葛の根を処理して、取れるのはせいぜい茶碗一杯。
体がとてもエラカッタ(名古屋方面の方、分かってね)。もったいなくて、とても食べられず、大事に保管中。
葛はマメ科のつる性の多年草で、日本(北海道から沖縄まで)、アジア諸国、に広く自生し,アメリカには飼料植物として移植され現在は帰化しています。
空気中の窒素を栄養分として利用するマメ科植物の特徴により、養分のない荒れ地でも、他の植物に先がけて定着し成育することが出来ます。
葛は様々な草食動物に好んで食べられ、草食動物の糞が有機成分を土壌に供給し、森林形成など、新たな生態系を取り戻す重要な契機になります。
フィリピンのピナツボ火山の噴火により、山麓一帯が火山灰に覆われ、森林が全滅した時には、日本から葛の種が贈られ、これにより森林再生に寄与したそうです。
葛は環境・生態系にとっても、ホントにエライのです。
ところで、葛と言えば、秋の七草ですよね。山上憶良は万葉集で、
秋の野に 咲きたる花を 指(オヨビ゙)折り かき数ふれば 七種の花
萩の花 尾花 葛花 なでしこが花 をみなへし また藤袴 朝顔が花
と歌っています。
葛は情緒面でもエライのです。
エライエライと褒めちぎりましたが、その繁殖力の旺盛さから畑を浸食される農民や林業従事者、高速道路や高圧線を管理する人たちからは敬遠されているようです。
そろそろ、保管中の「マンション葛粉」の食べ方を決めましょう。
葛きりにして食べましょうかね。
シンプルにほんのり甘く味付けた葛湯も、葛餅も良いですね。
なにしろ食欲の秋ですから。
蜷(にな)は古い言葉で、淡水産の小さな巻貝の意味です。
従って、川蜷(カワニナ)は川に棲む小さな巻貝です。そのまんまのネーミング。
ほんの小川の岩川の、そのまた支流の名も知れないささやかな小川達。
それら小川の岸辺や水中に長さ0.5cm~4cmの茶色~黒色の細長い巻貝が見られ、カタツムリのように2本のツノをユラユラさせていたら、それはカワニナである可能性が高いです。
みなみ台周辺は縄文・弥生時代の住居跡(遺跡)が散在していますが、そこからは土器のかけらに混ざってカワニナ、タニシの貝殻が結構出てきました。
推測ですが、ここらの縄文人はカワニナ、タニシなどの淡水産貝類を食していたようです。食べ物の少なくなる冬場などには、1年を通して手に入るカワニナなどは貴重な蛋白質だったのでしょうね。
現代人も一部地方では、カワニナを食する習慣があり、グルメ本(海の味、八坂書房)にもカワニナ料理のことが書かれています。サザエみたいな蓋はありませんが、小さいのでいちいちホジクリ出して食べるの面倒くさそうです。
カワニナは川底の落ち葉の分解物など、有機分を食べていますが、殻を形成するためにカルシウムなどのミネラルも大量に必要とします。ですから、カワニナが棲める所は豊な森に囲まれていて、ミネラルを含む湧き水が流れている必要があります。
カワニナは「水質階級Ⅱ」の指標生物に指定されていますので、みなみ台周辺は都市部にしては恵まれた環境であることが分かります。
ところで、カワニナは「ゲンジボタルの幼虫の餌」としてチョー有名ですよね。
ゲンジボタルは卵→幼虫→蛹→成虫の一生を1年間で終えますが、食に関してはヘンな拘りがあり、成虫は水しか飲みませんし、幼虫はカワニナしか食べません。
つまり、自分自身の一生分だけでなく次の世代分(卵)の栄養まで、幼虫の時期にカワニナを食べることだけにより得ているのです。そのため、一匹のゲンジボタルが必要とするカワニナは40匹にも上るそうです。まさしく天敵。
食べ方は貝の中に入り込み、消化液を吐き出して、カワニナをドロドロに溶かして吸い込むと言う、エレガントに発光するホタルとは思われない、マナーの悪さです。
地主さんのお話によると、30年前の岩川沿いは蛍が無数にいて、飛び交う光の筋が、それは幻想的だったそうです。残念ながら開発に伴い、今はぜんぜん見られません。
でも、玄海田の運動公園の湧き水(池)でゲンジボタルを養殖(当然カワニナも)する横浜市の計画がありますので、2~3年先にはホタルの乱舞が復活しそうです。
すごく楽しみですね。
わが子の実名を「悪魔」と届け出しようとして、戸籍係から受理されなかったことが報道されていました。
実子に対する命名権が親にあることはその通りなのでしょうが、山路来て なにやらゆかし 菫草
いわずと知れた、松尾芭蕉の、野ざらし紀行に収められた俳句ですよね。
みなみ台には、「スミレ」と言う和名をもつスミレと「ノジスミレ」と言うスミレ、「タチツボスミレ」と言うスミレの3種が自生しています。
日本はスミレ属の植物(Viola)が数え方によっては42種類もすみれセキレイは、漢字で書くと、「鶺鴒(せきれい)」となりますが、日本の「ことわざ(諺)」に次のようなものがあります・・・「鶺鴒が家に巣を作ると喜びあり」
昔々・・・「日本書紀」に次のような話があります・・・「イザナギノミコト」と「イザナミノミコト」の神様が、セキレイが首と尾を振るのを見て子孫を殖やす方法を学んだとあって、日本各地にその伝承が残り、神様の使い、そして、子づくりの神様とあがめられてきたといいます。
「家に巣をつくると喜びあり(福島県)」「庭に巣をつくると子福者になる(群馬県)」「母屋に巣をつくると家が富む(広島県)」「「家に巣をつくれば家畜の繁殖や健康の兆し(宮崎県)」など、セキレイを神様の使いと喜んだり、吉兆のしるしとして歓迎されたようです・・・。
自宅近くにケヤキの木があって、駅前であるにもかかわらず、ハクセキレイのねぐらになったところがありました・・・今はどうなっているかな・・・。
日本での「古名」では、「ニワクナブリ」「トツギオシエドリ」「イシクナギ」などがあって、「和名」としては、尾を良く振ることなどから、「ニワタタキ」「イシタタキ」「イワタタキ」「カワラスズメ」などが知られています。自宅の裏の畑にもハクセキレイは良く来ますが、地上に居るときに、首と長い尾を振り上げたり下ろしたりして忙しなく動かしているので、地面や石を叩くように見えるのかもしれません・・・。
下の画像は、「ハクセキレイ」と、亜種「ホオジロハクセキレイ」、亜種「タイワンハクセキレイ」です。ハクセキレイ以外は、観察する機会が少ない野鳥です。
おそまつ。
ご近所さんのお庭では、「入谷の朝顔市」で購われた、行燈仕立てのアサガオが、毎朝、藍色の瑞々しい花を咲かせています。
アサガオは奈良時代から平安時代にかけて、遣唐使により薬用植物として持ち帰られたもの。種子に下剤の薬効成分が含まれるのだそうです。
アサガオが観賞用植物として人々に愛でられる様になったのは江戸時代に入ってからのこと。
暇な旗本侍などが副業にせっせとアサガオの品種改良を行い、大輪のもの、八重咲きのもの、花弁が様々に変形したもの(品種)を生み出しました。
日本は皐月、牡丹、オモトや菊など多くの園芸植物を生み出していますが、アサガオも世界に誇れる園芸植物の一つと言って過言ではないとおもいます。
アサガオは一年草ですので、園芸品種を固定・維持するには毎年、交配、採種を行う必要があります。
しかし、八重咲き品種や花弁が変形した品種は不稔性・一代限りですので、正常な花のアサガオどうしを交配し、八重咲きのアサガオを得る必要があります。
つまり、普通のアサガオを多数交配し、多数の種を蒔き、苗を作り、苗の葉の特徴・形質から八重咲き遺伝子を持つ確率が高いものを選択すると言うものです。
江戸の園芸家はメンデルより早く遺伝の法則を理解し、利用していたことを示し、アサガオは江戸文化、江戸期の科学技術の高さを象徴する植物と言えるでしょう。
ところで、皆様は「雨降り朝顔」と言う言葉を聞いたことがありませんか?
ヒルガオのことをそのように呼ぶ地方があるそうです。
「ヒルガオの花を摘むと雨が降る」との言い伝えから来ているとの説が根強いですが、「花の中に唾を入れると雨が降る」、果ては「おしっこを入れると雨が降る」とか言う迷信まである様です。
愛犬家にとって雨降りは、お散歩の妨げになるので、あまり歓迎できません。
当院では、お預かり(入院もしくはペットホテル)しているワンコにも、「心身のリフレッシュ」の目的で朝夕のお散歩を可能な限り行います。
雨降りの時は、お散歩コースを短縮して対応しますが、ワンコのストレス解消も効果半減です。
ですから、ヒルガオの花を摘んだり、花の中に唾を入れたり、おしっこかけたりするのは勘弁してください。
そのヒルガオが、みなみ台のそこかしこで、ピンクの花を咲かせています。
みなみ台に自生しているのは「コヒルガオ(小昼顔)」と言う種類で、ヒルガオと殆ど同じ花を咲かせますが、特徴的な葉の形で区別できます。
人工的、繊細で、やや病的?な美しさのアサガオに対し、ヒルガオは野性的で健康的。「雑草」そのもの。
溌剌とした、小ぶりな花は日中まで咲き続けます。
がんばって咲いているところが「健気な先住民」と呼びたくなる所以です。
分類学上、ヒルガオ科に属しますが、ヒルガオ科の特長は「つる性」と、5枚の花弁が合体して、五角形の漏斗状・ラッパ状の花を形成する「合弁花」があげられます。
日本で見られるヒルガオ科の植物にはアサガオ、ヒルガオ、コヒルガオ、ハマヒルガオ、ヨルガオがあり、意外なことにサツマイモもヒルガオ科に属します。
そう言えばサツマイモの葉の形はアサガオに似ていますよね。
ヒルガオはサツマイモ同様に地下茎(お芋)を作る多年草で、毎年同じ場所に生えて来ます。
地下茎を粉末にしてもち米と一緒にしてヒルガオ餅として食べる地方や,混ぜご飯にして食べる地方もあるそうです。
どんな味がするのかな?早速試してみましょうか。
また、若芽もおひたし,塩漬けなどにして食べられるとのこと。
さらに、乾燥させ、煎じ薬(利尿、強壮、疲労回復)としても使われるそうです。
前記のとおり、サツマイモはヒルガオの仲間ですので、ヒルガオそっくりの美しい花が咲きます。
気温、日照など開花に必要な条件があわないので、この辺りではサツマイモの花に出会う機会は殆どありません。でも、沖縄では秋になるとサツマイモ畑はヒルガオそっくりの花が咲き乱れるそうです。是非見たいものです。
ヒルガオは万葉の時代には「かおばな(容花・顔花)」と呼ばれ、多くの和歌の題材に取り上げられています。
その中で、大伴家持が離れて暮らす奥さんを偲んで詠んだ、
高円の 野辺の容花 面影に 見えつつ妹は 忘れかねつも
は、家持さんの思いがストレートに伝わるので、私は好きです。
「かおばな」と言う呼び名が古来存在し、中世・近世になって朝の顔花⇒朝顔、昼の顔花⇒昼顔、夜の顔花⇒夜顔と区別して称されるに到ったと、これは私の推論です。
どなかか、正確な経緯をご存知の方がいらっしゃいましたら教えていただきたいです。
花言葉は「絆」。つるでシッカリ絡み付く様子から来ているのでしょうか?
この雑文を書くために、ヒルガオについて調べるにつれ、この植物の意外なほどの奥の深さを知りました。
「雑草」と一括りにするのではなく、みなみ台の健気な先住民全てに敬意を持って接するべきだと痛感した次第です。
連続的にやってきた春の嵐のせいもあり、桜は散ってしまいましたが、みなみ台の各地では可憐なすみれの花が盛りを迎えていますね。
みなみ台エリアで私が見たの「日本住宅都市整備公団」から「都市基盤整備公団」に、さらに「独立行政法人都市再生機構(通称UR都市機構)」へと、まるでヌエの様に変身・変態を繰り返し、生き抜いているのは、したたかと言うか、凄い生命力ですね。
名前がどう変わろうとも、みなみ台の宅地開発の主役を演じてきたのが「旧公団」であることは間違いない事実。
「お役所仕事」などと能率とコストパフォーマンスの悪さばかりを揶揄されがちな公団ですが、地盤補強など造成工事の丁寧かつ堅固なこと(時間と金に糸目はつけません)は、さすがですし、住民としては安心です。
公団の大いなる遺産と言えるでしょう。
もうひとつ、公団が遺してくれたものにシロツメクサとゲンゲの群落があります。
梅雨入り前のこの時期、みなみ台一帯は、公園や空き地、道端などにシロツメクサとゲンゲの群落が緑の縞々模様を作っていて、とりわけ瑞々しいですよね。
公団により開発され、林野だったこの辺りが順次ひな壇の造成地に変貌していきましたが、工事が一段落する都度、土留めの目的と土埃を抑えるために、盛り土部分をはじめ地表全体にシロツメクサやゲンゲの種子を惜しげもなく蒔いていきました。
「蒔く」と言っても、普通思い浮かぶような種蒔きの光景とは異なり、種子を含む糊状の液体をタンクローリーのホースとノズルを用いて、これでもかと吹き付けたのです。
それが春になると一斉に萌芽し、緑の絨毯と化し、初夏のちょうど今頃、シロツメクサの白とゲンゲの赤紫色の花が咲き誇るという仕組みです。
こうして、みなみ台全域にシロツメクサ、ゲンゲの絨毯が生じましたが、その後、マンションや家々が建つたびに、姿を消していきました。
でも、公園や空き地、道端にはその名残がまだまだふんだんにあり、私たちやワンコのみならずミツバチなどの昆虫を喜ばせてくれています。
我が家の愛犬、コーギーのこーちゃんとノーフォークテリアののんちゃんもこのお花畑が大好きで、散歩に行くと必ずその中で一休みしています(下の写真見てね)。
ところで、クローバーと通称されるシロツメクサですが、名前の由来は大航海時代のヨーロッパの商船が、中近東やアジアにガラス器、陶磁器などを輸送する際、破損を防ぐために、干したシロツメクサを詰め、クッション代わり用いたことにあるとのことです。
白い詰め物の草→シロツメクサの意味だったのですね。
一方、ゲンゲは通常はレンゲあるいはレンゲソウ(蓮華草)と呼びますが、ゲンゲが標準和名です。
10個ほどの紅紫色の花が車輪状に並んでいる姿がハス(蓮華)に似ていることが名前の由来とのことです。
シロツメクサもゲンゲもマメ科の植物で、空気中の窒素を栄養として取り込むことができる性質があり、やせた土壌を肥沃な土地に変えるパワーを持つすぐれものです。この力で、荒れ地の緑化や牛の飼料植物として現在でも重宝されています。
この花たちを見ると、「花の首飾り」や「花の冠」を作った、自分の子供の頃と、子供を育てていた頃の楽しい思い出がよみがえります。
でも、「手に取らで やはり野におけ 蓮華草」の句のとおり、そっと放って置くのが一番ですよね。
シロツメクサの花言葉は「約束」、「私を忘れないで」など。ゲンゲのそれは「私を癒す」、「苦しみを和らげる」などで、利尿や解熱などの薬効があるからだそうですね。初耳。
マメ科の植物ですから当然、花の後に小さな小さな豆が実りますが、シロツメクサの実はサヤエンドウに、ゲンゲの実はインゲンマメに似ています。とても面白い。
焼肉店「牛角」の対面にあった、旧公団事務所は売却され、スポーツセンターに建て替えられるなど、みなみ台から「公団」の影は薄くなっていますが、造成工事が丁寧だった「安心」と「シロツメクサ」、「ゲンゲ」の群落は、確かに公団がここを開発した証として残っています。
「日本住宅都市整備公団」から「都市基盤整備公団」に、さらに「独立行政法人都市再生機構(通称UR都市機構)」へと、まるでヌエの様に変身・変態を繰り返し、生き抜いているのは、したたかと言うか、凄い生命力ですね。
名前がどう変わろうとも、みなみ台の宅地開発の主役を演じてきたのが「旧公団」であることは間違いない事実。
「お役所仕事」などと能率とコストパフォーマンスの悪さばかりを揶揄されがちな公団ですが、地盤補強など造成工事の丁寧かつ堅固なこと(時間と金に糸目はつけません)は、さすがですし、住民としては安心です。
公団の大いなる遺産と言えるでしょう。
もうひとつ、公団が遺してくれたものにシロツメクサとゲンゲの群落があります。
梅雨入り前のこの時期、みなみ台一帯は、公園や空き地、道端などにシロツメクサとゲンゲの群落が緑の縞々模様を作っていて、とりわけ瑞々しいですよね。
公団により開発され、林野だったこの辺りが順次ひな壇の造成地に変貌していきましたが、工事が一段落する都度、土留めの目的と土埃を抑えるために、盛り土部分をはじめ地表全体にシロツメクサやゲンゲの種子を惜しげもなく蒔いていきました。
「蒔く」と言っても、普通思い浮かぶような種蒔きの光景とは異なり、種子を含む糊状の液体をタンクローリーのホースとノズルを用いて、これでもかと吹き付けたのです。
それが春になると一斉に萌芽し、緑の絨毯と化し、初夏のちょうど今頃、シロツメクサの白とゲンゲの赤紫色の花が咲き誇るという仕組みです。
こうして、みなみ台全域にシロツメクサ、ゲンゲの絨毯が生じましたが、その後、マンションや家々が建つたびに、姿を消していきました。
でも、公園や空き地、道端にはその名残がまだまだふんだんにあり、私たちやワンコのみならずミツバチなどの昆虫を喜ばせてくれています。
我が家の愛犬、コーギーのこーちゃんとノーフォークテリアののんちゃんもこのお花畑が大好きで、散歩に行くと必ずその中で一休みしています(下の写真見てね)。
ところで、クローバーと通称されるシロツメクサですが、名前の由来は大航海時代のヨーロッパの商船が、中近東やアジアにガラス器、陶磁器などを輸送する際、破損を防ぐために、干したシロツメクサを詰め、クッション代わり用いたことにあるとのことです。
白い詰め物の草→シロツメクサの意味だったのですね。
一方、ゲンゲは通常はレンゲあるいはレンゲソウ(蓮華草)と呼びますが、ゲンゲが標準和名です。
10個ほどの紅紫色の花が車輪状に並んでいる姿がハス(蓮華)に似ていることが名前の由来とのことです。
シロツメクサもゲンゲもマメ科の植物で、空気中の窒素を栄養として取り込むことができる性質があり、やせた土壌を肥沃な土地に変えるパワーを持つすぐれものです。この力で、荒れ地の緑化や牛の飼料植物として現在でも重宝されています。
この花たちを見ると、「花の首飾り」や「花の冠」を作った、自分の子供の頃と、子供を育てていた頃の楽しい思い出がよみがえります。
でも、「手に取らで やはり野におけ 蓮華草」の句のとおり、そっと放って置くのが一番ですよね。
シロツメクサの花言葉は「約束」、「私を忘れないで」など。ゲンゲのそれは「私を癒す」、「苦しみを和らげる」などで、利尿や解熱などの薬効があるからだそうですね。初耳。
マメ科の植物ですから当然、花の後に小さな小さな豆が実りますが、シロツメクサの実はサヤエンドウに、ゲンゲの実はインゲンマメに似ています。とても面白い。
焼肉店「牛角」の対面にあった、旧公団事務所は売却され、スポーツセンターに建て替えられるなど、みなみ台から「公団」の影は薄くなっていますが、造成工事が丁寧だった「安心」と「シロツメクサ」、「ゲンゲ」の群落は、確かに公団がここを開発した証として残っています。
今年は、季節の移りかわりが急ですね。
みなみ台周辺も落ち葉が舞い散り、あっという間に真冬の装いです。
オオカミをご先祖とするワンコは、寒いのヘッチャラ(チワワなど例外はありますが)。
この季節が一番好き。体毛の状態も食欲・元気も絶好調。
広場などで放してあげると、冬枯れた木立の間を嬉々として走り回りますよね。
そして、お家に帰ってみると、体側の毛などに、「ひっつき虫」がひっついているのに気付かれ、取ってあげるのに苦労された経験がおありの方も多いのではないでしょうか?
植物は子孫を残すために,種子を飛び散らすいろいろな工夫をします。
カエデやタンポポのように風に乗って遠くに飛んでいくもの、ホウセンカのように自力ではじけ散るもの、甘く、栄養豊富な果実を実らせ、鳥類に食べさせて糞中に排泄されるものと、さまざまです。
ひっつき虫の正体は、言うまでもなく植物の果実(種子)で、動物に付着することにより、種を少しでも広範囲に運んでもらい、子孫繁栄の確実性を増す営みです。
生物学では動物に種を運んでもらうやり方を「動物拡散」と呼ぶそうですが、宮崎県知事さんではありませんが、「そのまんま」のネーミングですよね。
みなみ台に多い「ひっつき虫」はオナモミ(正確にはオオオナモミ)とイノコズチです。
オナモミはキク科の植物で、一風変わった名前ですが、由来は、果実が衣服に引っかかる様子を表すナズム(滞ると言う意味の動詞)があり、転じて、ナモミになり、さらに雄ナモミ(オナモミ)に変わったそうです。ナルホド。
別に、葉をもんでつけると虫さされに効くというので「生揉み(ナモミ)」から付いたとの説もあるそうです。ナルホドナルホド。
この様にオナモミは薬草ですが、とりもなおさず毒草でもあり、毒性成分としては,carboxyatractyloside(カルボキシアトラクティロシド:早口言葉見たいです)が同定されているそうです。
この成分をラットに注射すると13.5mg/kgと言う微量で半数の動物が死に至る程の猛毒で、子牛などの中毒(低血糖症状)が報告されています。
ひっつき方は、実の周囲に、かぎ状になったトゲトゲがあり、それがセーターなどにからみつきます。
イノコズチはヒユ科イノコズチ属の植物で、茎の節が猪の膝のように膨れている様子から付いた名前ですが、中国では猪ではなく牛膝と呼ぶそうですね。
面白くありませんか?
イノコズチのひっつき虫はオナモミと比べずっと小さい代わりに、数が多く、絡み着き方も強力で、ワンコやニャンコの体から取り除くのに苦労しますよね。
また、マルチーズなど長毛種の眼の周りの毛に絡みついた場合、結膜を刺激して激しい結膜炎を引き起こすこともありますので、ご用心。
オナモミ同様、イノコズチも薬草・漢方として古くから使用されます。
今頃の時期に根を採取し、洗って乾燥させた後、煎じてに飲むと神経痛、関節痛などに効くとされています。女性の月経不順や婦人病にも効果があるといわれています。さらによく煎じてシロップ上にしてガーゼなどに塗って貼ると乳腺炎にもよいといわれています。
薬用成分にはステロイド骨格を有するエクダイステロンやイノコステロン、ベータシトステロール、スチグマステロール、ならびにそれらの配糖体も含まれるそうです。
さて。夜の帳が迫ってきました。
今日も冬晴れのお散歩日和。
いつものコースより一足伸ばして、愛犬こーちゃん、のんちゃんお気に入りの岩川周遊コースをハーフスピードで、一回りしてきましょう。
ブラッシングでの「ひっつき虫取り」が待っているけど覚悟は良いよね。
米国ブラウン大学医学部老年科のDosa助教授が、New England Journal of Medicineと言う一流の医学雑誌に、2歳の雄ネコ、オスカーの不思議な行動のことを寄稿しています。
オスカーは子猫のときにロードアイランド州プロビデンス市にあるストリートハウスと言う、ホスピスタイプの老人医療施設の職員に拾われ、以来、その医局で飼われているそうです。
ネコらしく、気儘な毎日を送る身の上ですが、「病棟回診と看取り」を行うスーパーキャットとして有名です。
その不思議な能力を紹介したく、翻訳しましたのでご一読ください。
Dosa助教授の論説は次のような書き出しで始まっています。
「ネコのオスカーは、医局にある机の上で、束の間のまどろみから覚め、片目を開けて彼の王国(縄張り)を睥睨する。
やおら、あくびを一つして、2歳の体躯を前に、後ろに屈伸する。机から飛び降り、ボウルの水を飲み、おやつを一口食べてから、満足気に『さて、一仕事するか。』とでも言うようにゆっくりと歩き出す。」
彼の「一仕事」は前記のとおり、病棟回診です。仕事場としている3階の病棟フロアーには重い認知症や、がん末期のお年寄りなど、終末期の患者さんがケアを受けているそうです。
彼は、そんな重篤な入院患者さん一人一人をくまなく、毎日、診て回ります。その様子を、Dosa助教授は次のように形容します。
「病室310にはTさんと言う、乳がんに侵され、やせ細り、黄疸症状を浮かべた末期の老婦人がモルヒネ注射の影響で、まるで死んだように眠っている。
オスカーは病室に入ると、ベッドに飛び乗り、注意深くTさんを観察し、息を嗅ぐ。そして、ベッドから離れる。まるで、『よし。この人はまだ大丈夫。』と言っている様に。」
オスカーは他の病室でも、同様な行動を繰り返した後に、313号室に入り、Kさんと言う婦人患者を訪れます。その様子を、
「K婦人は、規則的ではあるが浅い呼吸を繰り返し、見舞いの人もないベッドに一人横たわっている。オスカーは他の患者にしたと同様、観察し、呼気を嗅ぐ行動をとる。
そして、何かを感じたようにくるくると体を回し、枕元にじっとうずくまり、動きを止める。
そのまま、1時間が経ち、看護士がオスカーの存在に気付く。
看護士は急いでカルテ棚からカルテを取り出し、各所に電話をかける。
電話から30分もすると、家族が集まり始め、用意された椅子にかけてK婦人を取り囲む。
司祭が呼ばれ、最後の祈りをK婦人に捧げる。
オスカーは依然として枕元に寄り添い、ゴロゴロと優しくのどを鳴らし続ける。
若い孫の一人が、『あのネコは何をしているの?』と尋ね、K婦人の娘が涙をこらえながら、『お婆様が天国に行ける様、手伝ってくれているのよ』と答える。
さらに30分経ち、K婦人は息を引き取る。
これを見届けて、オスカーはあたりを見回して、静かに部屋を後にする。」
と綴っています。さらに、
「オスカーは自分の机に戻り、一日の長い休みに就く。
彼の日々の仕事はこの様に終わる。
今日に限って言えば、3階の病室では310号室を含め、もうこれ以上の「死」は訪れないはずだ。
事実、この日に限らず、オスカーの興味を惹く者以外、死を迎える患者は出ていない。」と、結ばれています。
Dosa助教授は、
「オスカーには患者の死を予知する能力があり、それは説明不能な力である。
この施設の3階病棟では25名の患者が死を迎えたが、オスカーはいずれも記述した通りの方法でそれを予知した。
オスカーの『患者の傍に寄り添うという行動』が差し迫った死の指標になること、それにより患者家族へのタイムリーな連絡が可能になるという不思議について、医師や看護士など病院職員は理解し、受入れている。
のみならず、オスカーは臨終の患者の孤独を慰め、安らかな旅立ちの手助けをするので、彼の仕事振りを医療スタッフも家族も有難いものと感じ、病棟の廊下には彼の壁画が感謝を込めて飾られている。」
とコメントしています。
オスカー君の死を予知する超能力も凄いとは思いますが、私は、臨終間近な患者さんに寄り添い、癒してあげる優しさが彼の真骨頂だと思います。
ガンバレ!!ネコのオスカー君。