唐突ですが、お酒は良いですよね。
第一に食事が美味しくなりますし、風呂上りのビール、就寝前のワンショットも穏やかな睡眠に必需品です。
家族で飲むも良し。友人とにぎやかに飲むも良し。時には一人でボーッとしながら飲むもまた良し。人生の味わいを深めてくれます。
エエッ??愛犬や愛猫と酌み交わす酒も捨てがたいですって?これは、聞き捨てできません。
ワンコはアルコールの毒性に弱い体質の動物で、ワンコにお酒を飲ませるのは動物虐待に相当する行為です。
非常に古い実験結果ですが、大まかに言ってアルコールによるワンコの致死量は人間の1/5と記されています。
言い換えると、ワンコは人間の5倍、お酒に弱いと言うことです。
その文献のデータから換算しますと、体重5kgのプードルに日本酒とっくり半分(100ml)を投与すると死んでしまうワンコがでることになります。くわばらくわばら。
現れる毒性所見は人間もワンコも質的に同じで、
急性毒性所見(イッキ飲み)は
中枢神経:運動失調、痙攣、意識障害、反射消失
呼吸器系:呼吸抑制、呼吸不全
循環器系:脱水症状、まれに血圧低下、ショック
消化器系:嘔気、嘔吐
代謝系:代謝性アシドーシス
その他:低体温、高アミラーゼ血症、低カリウム血症
などであり、
慢性毒性所見(慢性中毒)は、
肝臓:アルコール性肝炎→脂肪肝→肝硬変
すい臓:膵炎
などが現れます。
治療方法
・急性中毒:補液により脱水とアシドーシスを補正し、循環血液量を確保します。酸素吸入や昇圧剤、ステロイド剤を投与しショックに対応し、回復を待ちます。
・慢性中毒:強肝剤、利胆薬の投与
を行います。
予防方法
ワンコを晩酌のお供にするのはやめましょう。
ウイスキーボンボンはチョコレートの毒性(本体はテオブロミン、これにもワンコは弱い)にアルコールの毒性が加わります。ご用心。
ご不明な点がありましたら何なりとご質問ください。
山路来て なにやらゆかし 菫草
いわずと知れた、松尾芭蕉の、野ざらし紀行に収められた俳句ですよね。
みなみ台には、「スミレ」と言う和名をもつスミレと「ノジスミレ」と言うスミレ、「タチツボスミレ」と言うスミレの3種が自生しています。
日本はスミレ属の植物(Viola)が数え方によっては42種類もすみれセキレイは、漢字で書くと、「鶺鴒(せきれい)」となりますが、日本の「ことわざ(諺)」に次のようなものがあります・・・「鶺鴒が家に巣を作ると喜びあり」
昔々・・・「日本書紀」に次のような話があります・・・「イザナギノミコト」と「イザナミノミコト」の神様が、セキレイが首と尾を振るのを見て子孫を殖やす方法を学んだとあって、日本各地にその伝承が残り、神様の使い、そして、子づくりの神様とあがめられてきたといいます。
「家に巣をつくると喜びあり(福島県)」「庭に巣をつくると子福者になる(群馬県)」「母屋に巣をつくると家が富む(広島県)」「「家に巣をつくれば家畜の繁殖や健康の兆し(宮崎県)」など、セキレイを神様の使いと喜んだり、吉兆のしるしとして歓迎されたようです・・・。
自宅近くにケヤキの木があって、駅前であるにもかかわらず、ハクセキレイのねぐらになったところがありました・・・今はどうなっているかな・・・。
日本での「古名」では、「ニワクナブリ」「トツギオシエドリ」「イシクナギ」などがあって、「和名」としては、尾を良く振ることなどから、「ニワタタキ」「イシタタキ」「イワタタキ」「カワラスズメ」などが知られています。自宅の裏の畑にもハクセキレイは良く来ますが、地上に居るときに、首と長い尾を振り上げたり下ろしたりして忙しなく動かしているので、地面や石を叩くように見えるのかもしれません・・・。
下の画像は、「ハクセキレイ」と、亜種「ホオジロハクセキレイ」、亜種「タイワンハクセキレイ」です。ハクセキレイ以外は、観察する機会が少ない野鳥です。
おそまつ。
私が移り住んだ頃の長津田周辺は武蔵野(相模野が正しい?)の台地そのものの面影で、クヌギやナラを主体とする雑木林(里山)と泉の湧く谷間が入り組んでいる、いわゆる「谷戸」と表現される地形でした。
今では、いぶき野、霧が丘、若葉台、あかね台、そして、みなみ台と開発が最終段階に差しかかり、美しく整備された住宅街に変貌しています。
宅地造成初期にはブルドーザーが丘陵を削り、工事用の仮の道路を作る光景があちこちで見られました。
散歩していると、削られた地層に屋根瓦か煉瓦のかけらのようなものがたくさん露出して見え、手に取るとそれらは土器の破片だったのです。
表面には縄文模様が存在するので、いわゆる縄文式土器だと思われました。
縄文人の住居跡(遺跡)ですよね。
本来、遺跡は教育委員会の主導で発掘調査・保存を行うべきものですが、公団には時間とお金が余分に必要になる「厄介もの」のようで、重要な遺跡以外は、「見なかったことにしておこう」状態だったのです。
そんな訳で、土器集めにいそしみましたが、焼け焦げた石が積み重なって、囲炉裏と思しき所が確認できたり、土器の底の部分に炭化した穀類が認められたり、カワニナやタニシの貝殻(常食していたのでしょう)がたくさんあったり、と一丁前の考古学者気分に浸ったものでした。
遺跡らしき場所は、何箇所もありましたが、どこも大抵南斜面にあり、陽当たり良好で北風を遮る暖かそうな所です。
また、坂を少し下ると湧き水が流れていて、昔の人が生活するには一等地の様に思えます。
拾った土器類のなかで、私が最も気になっていたのは、携帯電話サイズの石英質の白いきれいな自然石です。
土器が折り重なっている間にありましたので、縄文人たちが何かに使っていたのだと思われます。
私は縄文人の子供のおもちゃだと確信しました。
晩秋の夕刻、拾ったその小石を手にしていると、手の温度が石に伝わり、温かみを帯びてきます。
その温もりが今度は逆に私の手のひらに伝わり、何となく縄文人の子供と手をつないでいるような錯覚に陥るのです。
そんな心理状態で、あたりを見回すと、紅葉した雑木林を夕陽が更に鮮やかに染めた中で、縄文人の家族が夕食のひと時を過ごしている楽しげなシーンがありありと想起されます。
まるでタイムスリップしたみたいに。
その小石を「私のタイムマシン」と名付け、20年以上ずっと持っていましたが、造成が完成したのを期に、もとの場所付近に埋め戻しました。
「縄文の子供達のもとに戻りますように」と念じながら。
ぼくたち、ダックス、コーギー、シーズーにバセットなど、みんな足が短いでしょ?
皆さんは、足が短いぼくたちの仕草に独特の愛らしさを感じてくれますよね。
実は、ぼくたちの体型・仕草には人間の母性本能を刺激する働きがあることが分かってきています。
だから、日本でもアメリカでもぼくたちが人気犬種の上位を占めちゃうのです。
ヤッタね。
愛らしいだけでなく、足が短いには短いなりの理由と言いますか、必然性があるのです。
ぼく、ダックスはアナグマなど狭い穴を隠れ家としている小動物を狩るのが元々得意だったのですが、もっと上手に穴にもぐれる体つきを求めて、足の短い両親を選んで子孫を残し続けた結果この体型を獲得したのです。
イギリスはウエールズ地方が故郷のコーギー君は、牛の番をする使役犬として飼育されていて、主なお仕事は牛を牛小屋や輸送列車に追い込むことだったのです。
列車なんかに絶対に乗りたくない牛さんはひずめで蹴ったり、角を振り回すなど抵抗します。
その時にコーギー君の低い体つきが威力を発揮して、牛の攻撃を避けつつ、後ろ足の踵部分に咬み付いて、牛を牛小屋などに誘導して行くのです。
コーギー君もぼくと同じように選択交配を続けて足の短い遺伝子が固定されたのです。
では、ぼくたちの足が短くなる、発生メカニズムはどうなっているのでしょう?
それは、足の骨の成長板(成長軟骨)が普通のワンコに比べ早く閉じてしまい、それ以後足の骨が成長を止めてしまうことによると説明されています。
四肢の骨に限局して骨端線早期閉鎖が起こる現象はごく早期から始まっていて、頭や胴体など、他の骨格は成長し続けるのに手足だけが伸びなくなってしまう結果、体に比べ足が短いスタイルが出来上がるのです。
本質的には、「成長障害」と言う病気に該当するものです。
でも、長年にわたる交配の結果、この遺伝子は固定され、この状態が、ぼくダックスの正常な姿ということになっているのです。
えっ?「短い足で、長めの胴体を支える体型に無理はないのか」ですって?
すごく鋭いご指摘です。
そうなんです。無理があるんです。
特に背骨に年齢とともに様々な疲労性の変性疾患が出てきてしまいます。
どんな無理があるのか?
普通のワンコが階段を下りる時のことを考えてみてください。
例えばコーギー君と同じくらいの胴体、体重で足が長いシェルティーちゃんの降り方は、四本の足を左右順番に繰り出し、スムーズに体重移動をしながら降りることが出来ます。
でも、短足コーギー君は両前足一緒にトントンと降りていますよね。
その都度、体重×落下速度の二乗のエネルギーがコーギー君の背骨を直撃し、クッションの役割の椎間板にダメージを与え続けるのです。
その衝撃が積み重なり、ぼくたちは脊椎椎間板症→ヘルニアの道を進みやすい宿命を負っているのです。
ここで、「体重」と言うKey Wordが出てきましたよね?
人間と違い4本足のぼくたちは、背骨が水平につながっています。
家に例えると、家の重み(体重)を支える「梁」の役割ですね。
直立歩行の人間の背骨は縦方向につながっていて「大黒柱」になぞらえることが出来ると思います。
柱と柱の距離が長い梁には、短い場合より歪みの力が大きくかかりますが、ぼくたちの背骨(梁)にも、常に体重に比例する歪みの力が加わるのです。
ですから、ぼくたち胴長・短足ワンコの飼い主さんには、まず「肥満防止・体重減少」を、心からお願いするのです。
ぼくたちは食いしん坊ぞろいで、ご飯やおやつが人生最大の楽しみです。
やさしい飼い主さんは、ご飯やおやつを沢山くれたがりますが、心を鬼にしてくださいね。
さらに、階段やソファーなどの昇り降りは回避するよう、お願いします。
誤解を招かないようにつけ加えますが、適度な運動や散歩は背骨を保持する役割の筋肉を維持する上で、絶対に必要なものですからね。ダメなのは階段昇り降りです。
僕たち、パグやブルドック、フレンチブルにボクサー、ペキニーズやシーズー、キャベリアそれに狆などなど、お顔全体が前から押しつぶされたように平坦ですよね。
僕たちほど顕著ではありませんが、チワワもポメラニアンも、かなりお鼻が短くて、その分、幅の広い顔つきをしています。
それに比べ、コリー、ボルゾイ、アフガンハウンド、グレーハウンドなどは鼻筋がスッキリ通っていて、スタイルも抜群。かっこいいですよね。あこがれちゃいます。
僕たちイヌの祖先について、細かいところでは不明な点はありますが、オオカミから進化したことは定説になっています。
ご先祖様のオオカミの頭を標準に、それより長く変化したのを長頭型、短いのを短頭型、さらに短いのを極短頭型などと区分しているそうです。
実は、僕たちのペッチャンコの鼻には、生きていく上で有利なことはあまりありません。
まず、闘いに不利です。世間ではブルドックは喧嘩に強いイメージが広がっていますが、これは誤解。
本当に強いのはブルテリア。僕たちの短い口吻ではどうしたって咬みつき難いですからね。
次に、ペチャンコ鼻になってしまったせいで、顔面・頭頚部のパーツの配置に無理が生じ、様々な病気の原因を抱え込んでしまいました。
例えば、眼が収まる眼窩は浅くなり、広くなり、要するに眼が金魚の出目金の様に飛び出てしまい、角膜に傷を負いやすくなっています。
波及して角膜炎、緑内障、白内障などの発症率が高いのです。
それに、顔の皮膚が弛んでダーツになっているので、汚れが溜まり易く、皮膚病の温床になっているのです。
シャンプーの時には皺を伸ばして襞の奥まで洗ってくださいね。
顎が小さくなって、歯槽骨も上下42本の歯列を収容するスペースが不足し、歯並びは悪いし、歯周病になりやすいのも悩みの種です。
歯磨き、よろしくお願いします。
呼吸する時の空気の通り道も狭く、曲がり方が急で、色々なトラブルを起こしやすいです。
その代表が短頭種気道症候群と呼ばれる病気で、鼻孔、鼻甲介、鼻咽頭の軟口蓋後端部、および舌骨装置における気道狭窄によって生じる呼吸困難です。
ム、ムズカシイ。舌を噛みそうです。
特に軟口蓋が普通より長く、空気の通り道を塞いでしまう軟口蓋過長と言う状態に陥りやすく、麻酔の時の事故がこわいです。獣医さん泣かせ。
短頭種気道症候群がひどい場合には軟口蓋切除術などの手術が必要になります。
おまけに、親父キャラのブル君には人間並みに睡眠時無呼吸症候群もあるんですよ。
お父さんには申し訳ないけど、笑えますよね。
頭蓋骨も扁平(横広がり)に変形していて、脳・脊髄液の流れが阻害される脳圧亢進に伴う病気も起こりやすいですし、頭が骨盤サイズに比して大きいので、お産の時がまた大変なんです。
ブル君などは帝王切開で生まれる割合がとても高い(当院では50%を超える)ので、お産のことを考えると、気分がブルー。
ついダジャレが出ちゃいました。座布団1枚もらえませんか?
そんな、不利なペチャンコ顔ですが、僕たちの容貌には人間のハートを和ませる作用があるんです。
間隔が開いたパッチリのおめめで、首を傾げてウルウル見詰められて、胸キュンとならない人はいませんよね。
ですから、欧米でも日本でも僕たちは人気犬種の上位にランクされているのです。すごいでしょ。
チャーミングな半面、少しハンデを負って生きている僕たちを、可愛がってくださる飼い主さんにお願いがあります。
僕たちにとって、太り過ぎは何一つ良いことはありません。
特に、「短頭種気道症候群」の最悪のリスクファクター(発症要因であり増悪因子)なのです。
フードの袋に印刷されている、カロリー表示を調べてください。そして1日の必要量を計算し、その量を守って欲しいのです。
僕たちは皆、食いしん坊で、お腹いっぱい食べられないことはとても辛いのですが、我慢します。
さらに、運動不足は呼吸に関与する筋・骨格を脆弱化してしまいます。
お散歩をみっちりさせて下さい。
その様にして体重・体調管理を徹底していただきたいのです。
ところで、本題の「鼻がペッチャンコの訳」ですが、僕たちの頭の形(形質)を決定付ける遺伝子については、解明されていない様です。
「短い鼻の方が長い鼻より優位」程度の記載はありましたが、根拠は明らかでなく、それ以上の記述は見つかりませんでした。
人間については、民族学的な観点からの研究や、先天疾患の原因遺伝子解析などの研究から、顔かたちに与える遺伝子は、かなりのところまで分かっているようですが・・・。
皆様の中で、ワンコの鼻の形についての情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えて下さいね。
動物病院の待合室は動物達も、飼い主の皆様も緊張気味になり、居心地の良い所ではありませんよね。
そんな、殺風景になりがちな待合室を彩ってくれているのがハイビスカスの鉢植えです。
私のハイビスカスへの感謝を込めてのウンチクに、しばしお付き合いください。
この植物は中国南部が原産とされていますが、熱帯地方に広く分布し、アメリカ・ハワイでは「州の花」に、マレーシアでは国花に指定されているそうです。
植物図鑑を見ると、分類学的にはアオイ科フヨウ属へ属し、近縁の植物にフヨウやムクゲがあると記載されており、ここまではフンフンなるほどと納得しながら読み進みました。でも、最も近い親戚が野菜のオクラであると言うのは私にはとても意外で面白く感じられました。オクラの親戚ですか~??
試みに、ハイビスカスのめしべ(子房)に相当するところを取り出してみると、なるほどミニチュアのオクラ状をなしています(ガーン)。更に、その部分をつぶすとオクラと同じように、ネバネバの汁が出てくるではありませんか!!!
ちなみに、玄海田の運動公園予定地の北隣にある野菜畑ではオクラが栽培されていて、フヨウに良く似た美しい黄色い花(黄色い花弁に真紅の花軸)を咲かせています。花が散った後に、子房がお馴染みのオクラになっていくのですが、未熟な子供のオクラから収穫し損なってキュウリほどにも育ってしまったオクラ(硬くて食べられません)まで生育の過程が見られてとても面白いですよ。
花は早朝に咲いて夕方には萎む一日花です。「花の命は短くて・・・」ですね。
でも、この辺ですと、真冬の1時期を除いてほぼ1年中間断なく、咲き続けてくれるのがうれしいですよね。
ずっと以前に知り合いの方に頂いた赤いハイビスカスに、白が加わり、楽しみが増えました。
赤いハイビスカスの花言葉は「私はあなたを信じます。新しい美。開放的」など、白のそれは「艶美」だそうですね。
ところで、肝心の動物達の反応ですが、「花より団子」なのでしょうか?ハイビスカスに限らず、花に対し興味を示すワンコ、ニャンコはいないように見えますね(ザンネン)。時には片足を上げて名刺代わり、縄張り宣言のおしっこをしていく剛の者(ワンコさん)がいるのもご愛嬌です。
愛猫家の皆様。
ニャンコの耳が両側ともに、脱毛していませんか?
また、脱毛した耳介部皮膚が赤黒く変色し、ツブツブ、ブツブツ、ザラザラな顆粒状のかさぶたが出来る症状はいかがでしょうか?
眼の上の部分や鼻の周囲に炎症が生じ、爪で引っ掻いたような傷が出来て、かさぶたが出来ていませんか?
上記の症状があり、しかも、初夏に生じて冬には消失(改善)する、「季節性」が見られたら、蚊に対するアレルギー性皮膚炎の1病型「蚊刺過敏症」が疑われます。
原因は?
蚊やダニ、ノミなどの吸血昆虫(ダニは昆虫ではありませんが・・)が、ネコなど動物を刺して、体液・血液を摂取する際、動物の血液凝固を抑制する成分、血管を広げる成分、麻酔作用のある成分などを含む「唾液」を注入し、吸血の効率を高めるのだそうです。
麻酔成分は、吸血されていることに気付かないことに繋がり、吸血昆虫サイドにとっては、危険の軽減の役割を担うようです。
注入された「唾液成分」は化学的にはアミン類やタンパク質からなるので、ニャンコはこれらを異物として認識し、抗原抗体反応ですので、
する動物の注射針のようなクチバシを皮膚に刺しいれ
それも、ツンと刺激的な、甘酸っぱいような匂いで、まあ、悪臭の部類でしょう。
飼い主さんによっては「納豆のようなにおい」と表現する方もいらっしゃいます。
また、耳を痒がり、後ろ足で掻いたり、床にこすりつけたり、ブルブル振ったり、頭(耳)を片方に傾ける動作はいかがですか?
そして、お耳掃除をすると、茶色もしくはチョコレート色のねっとりした耳垢がたくさん出てきませんか?
そのような場合、外耳炎、それもマラセチア菌が原因の外耳炎の可能性が高いです。
マラセチア菌ってなに?:
マラセチア菌???皆様には耳慣れない言葉ですよね。
こやつ、マラセチア菌の正体は、不完全菌類,Cryptococcaceae科に分類される酵母様真菌、つまり酵母(カビ)の一種です。
ワンコの耳に棲むマラセチアはまず間違いなくMalassezia panchidermatis。
赤血球と比べ、ふたまわり以上小さい、本来は卵円型の酵母菌ですが、分芽子という里芋の小芋のようなものをつけているものが多いので、ひょうたん型あるいはダルマ型の愛嬌のある姿をしています。
酵母菌ですから、パンや味噌、醤油、みりん、酢、ぬか漬などを作り出す、私たちの食生活に、切っても切れない菌のグループです。
また、ビールやワイン、日本酒を醸造する立役者でもあり、左党のお父さんには足を向けて寝られない菌です。
以上のように、酵母菌は有用菌である反面、時に、ヒトや動物に病原性を発揮することもあるのです。
マラセチアはどんな場所にいるの?:
ワンコの場合、マラセチアが棲んでいる頻度が最も高い部位は外耳道。
次いで、指の股(足裏)、胸周り、胴周り、顔面などの皮膚です。
つまり、皮膚粘膜が居場所であり、内蔵に感染が及ぶことはほとんどありません。
どんなワンコがマラセチア性外耳炎になりやすいの?:
耳が大きくて、垂れているワンコ、例えばダックスフントなどに多い傾向があります。
風通しが悪いせいでしょうか?
▶どんな症状?
冒頭に記載したとおりの症状です。マラセチア菌がお耳の分泌物を発酵させる過程で、強い炎症を起こし、前述の症状が起きるのです。
▶診断はどうやるの?
お耳の肉眼的ならびに耳鏡による観察を行い、さらに、耳垢をスライドグラスに採り、染色標本を作り、顕微鏡で調べます。
マラセチア菌は「ひょうたん」のような「だるま」のような「ボーリングのピン」のような形をしているのですぐ分かります。
1視野に複数以上のマラセチア菌が見えた場合、「マラセチア菌の関与あり」と判定しています。
▶マラセチア菌はヒトに感染するの?
「ヒトにはヒトのマラセチア菌」
テレビコマーシャルのようですが、ヒトに病原性を有し「くろなまず(癜風)」と呼ばれる皮膚病の原因になるマラセチア菌は、Malassezia furfurでワンコのマラセチア菌とは別物です。
イヌのマラセチアがヒトに感染する可能性はとても低いですが、ワンコと遊んだ後には手洗いするなど、普通の衛生管理は必要でしょう。
▶治療法は?
マラセチア菌とともに一般細菌が連合を組んで悪さをすることが多いので、抗真菌剤、抗生物質、抗炎症薬を含むローション剤で耳内を清拭し治療します。
通院治療のほか、自宅でも点耳薬を入れていただくと、治療効果が高まります。
▶その他、特記事項?
マラセチア菌は多くの抗真菌薬に感受性を有し、治療によく反応します。
しかし、完全除菌はなかなか難しく、中途半端な治療ですと再発・再燃してしまいます。
症状が改善した後も、しばらくは治療を継続することが重要です。
以上、可能な限り平易に、かつ詳しくご説明致しました。ご不明の点は何なりとご質問ください。
皆様の愛猫(イエネコ)のご先祖様がリビアヤマネコである可能性が高まりました。
つまり、ペルシャもシャムもアメショーもスコティッシュも日本猫も、みーんなリビアヤマネコの子孫だと言うことです。
リビアヤマネコはアビシニアンをふたまわりほど大きくしたような外観を持ち、その名のとおり、アフリカのリビアを中心に中近東まで広く分布している、体長約60cmの野生種ネコです。
そのリビアヤマネコがニャンコのルーツらしいと言うことは、体型の類似性、古代エジプト人のお墓に合葬(ミイラとして)されていたこと、壁画などに描かれている猫がリビアヤマネコに似ていることなどから「推測」はされていました。
古代人が苦労して栽培し、やっとの思いで収穫した穀物などを盗み食いするネズミの「番ニャンコ」として、人と生活を共にし始め、その後、世界各地に広まって様々な品種が出来て行ったと考えられています。
今般、この「リビアヤマネコ先祖説」が、科学的な手法の「ミトコンドリアDNA」の解析、つまり遺伝子解析を用いて確認されたのです。
私も獣医師の端くれとして、新しい科学技術を学び続ける努力は欠かさないようにしていますが、遺伝子解析いわゆる「ゲノム」と称される分野は文献ひとつを読むにも一苦労です。
言い訳がましくてナンですが、私たちの学生時代の獣医専攻カリキュラムにはゲノムなぞ、影も形もなかったのです。
乏しい知識と辞書を動員して、米英独などの国際研究チームによりweb版サイエンス誌に発表された論文を読んでみました。以下要約。
・野生のヤマネコが家畜化され、イエネコになっていく過程や、様々な品種に分化していく過程は「遺伝子配列の変異パターン」として遺伝子上に記録される。
・ヨーロッパヤマネコ、リビアヤマネコ、アジアヤマネコ、アフリカヤマネコ、ハイイロネコの各野生ネコと、イエネコの計979匹について、母側から受け継がれる「ミトコンドリアDNA」の遺伝子を解析し、各野生ネコ、イエネコ相互の近縁性を調べた。
・その結果、イエネコの遺伝子配列の変異パターンはリビアヤマネコとの共通性が際立っていた。
・リビアヤマネコのうち、地中海東部沿岸に生息する、少なくとも5つの母系が基になり、家畜化し、イエネコとして広がったことが分かった。
・他の各ヤマネコはリビアヤマネコの亜種に位置づけられる。
・リビアヤマネコの家畜化は文明発祥の地として知られる「肥沃な三日月地帯」で始まった農耕集落形成と関連づけて解釈される。
なるほど、たいそう大規模かつ詳細な試験ですね。ニャンコ君たちのルーツが判明して良かったね。
ワンコと比べ、暑さに強い体質、水泳が得意でないこと、水分を少量しか摂らないで、濃い尿を少ししか出さない体質、それにより尿路結石症になり易い体質、腎不全を生じやすい体質も、中東の砂漠を住処としているリビアヤマネコの血を受け継いだからと思えば納得。
ところで、日本には「イリオモテヤマネコ」、「ツシマヤマネコ」2種類の貴重な野生種ネコが生息しています。
沖縄の西表島で、動物文学作家の戸川幸夫さんと琉球大学が協力して未知のヤマネコのオスメス各1匹を捕獲し、イリオモテヤマネコと命名、学会に発表したのが1967年ですから今からちょうど40年前のことです。20世紀最大の発見。
イリオモテヤマネコは、湿地や川辺を好み、ネズミ、小鳥、昆虫などの他、カエル、魚、エビ、サワガニなどの水辺の生き物を常食とし、水中の生き物を捕らえる時には、潜水泳法もヘッチャラの、ネコのイメージとかけ離れた行動を取る動物です。
もし、イリオモテヤマネコが家畜化・ペット化されていたら、水難救助ニャンコとして大活躍していたかもしれませんね。シャンプーもぜんぜん平気だったりしてね。
病院前の駐車場で、ヤモリの子供が一匹ペッチャンコになって干乾びていました。
数年前から、夏の夜、居間の窓ガラスにヤモリの影がチラチラ見え隠れしていて、気になっていました。
ダンナに言っても、「俺は見たことないよ。真夏の夜の夢じゃないの。」などと憎まれ口を利くので、何とか証拠をつかみたかったのです。
配偶者まで得て、子供を作っていたなんて、「なかなかやりますね」の気分です。
ペッチャンコ子供ヤモリのご冥福を祈りつつ、ヤモリについて、ウンチクを語らせていただきます。
ヤモリは生物学上、爬虫類(綱)、有鱗目、ヤモリ科、ヤモリ属に属します。
日本には13種のヤモリが生息しているそうですが、関東地方に分布しているのは「ニホンヤモリ」一種だけ。
ですから、我が家の「壁チョロ」もニホンヤモリと判断して、まず間違いないところ。
そのニホンヤモリは体長10~14cm、全身をウロコに覆われ、扁平な体型で、人家近くを棲家とし、ハエやカやガなどの昆虫類、蜘蛛類を常食とします。
漢字では「家守」と表記されますが、「家に邪気を寄せ付けない」ことに由来するという説と、「家の害虫を食べてくれるから」、と言う説があるようです。
カメレオン程上手くありませんが、ヤモリも皮膚の色(濃淡)を変えることができ、同じ個体でも、白っぽい体色からダークグレー、赤茶けた色まで、周囲の環境によって変化します。
昼間は戸袋などの隙間に潜んでいて、灯ともし頃、明かりに寄って来る虫などを狙ってチョロチョロと出てくる、夜行性のハンターなのです。
ハンティングの武器である、
①暗闇でも獲物を見分けられる眼
②垂直の壁や天井裏などを素早く、自由に歩きまわれる「趾下薄板(指下板)」を持つ手足
③大きく開いて、ガなどを一口で捕らえる口
の3つが、厳しい生存競争を耐えている拠りどころなのでしょう。
眼は、体の割りに大きく、瞳孔が縦長に出来ているので、私的にはニャンコの眼そっくりに見えます。
ただし、ヤモリには目蓋がなく、目蓋の代わりに透明なウロコで覆って眼球を保護しています。
そのため、ヤモリを飼育しているもの好きの話によると、寝ているのか、起きているのか、分からないそうです。
趾下薄板(指下板)は多くのヤモリの仲間にある足の裏に見られる大型のウロコ。
ここには、ごく小さな「鈎針」の様な突起が無数にあり、これを引っ掛けることで、垂直な壁を敏捷に昇降・水平移動することが出来ます。
ガラス窓さえ上ることができますので、アマガエルの様に「吸盤」を持っているかのように誤解されますが、そうではなく、ミクロの鈎針をガラス面の凹凸(あるんですかね?)に引っ掛けて移動するそうです。まるで忍者ですね。
口は、カメレオンの長い舌などの特別な仕組みはなく、ただ、自分の頭ほどもあるガを瞬時に確実に捉える様、ガバッと開閉することができるのが特長です。
狩の方法は「待ち伏せタイプ」ではなく、「追跡タイプ」と要約できます。
弱肉強食のこの世の中。
ヤモリを獲物にしようと、狙っている動物はたくさんにますが、夜行性、敏捷性、扁平な体で狭い隙間に逃げ込むこと、尾の自切(トカゲ同様シッポ切りします)による眼くらまし、などなど弱者の知恵を総動員して生き抜いている姿は本当に健気です。
ニャンコの眼そっくりとはいえ、お世辞にも「可愛いい」とは言い難いヤモリ君ですが、毒もなく、人間には一切悪いことはしない、みなみ台の先住民です。
もし、家に住み着くヤモリ君がいたら、歓迎してあげてくださいね。
どかな丘陵から美しい住宅街へ。みなみ台周辺の変貌を四半世紀にわたり見てきました。岡を削り、谷を埋める造成工事は、当然のことながら環境の激変を伴いました。
最も大きな影響を受けたのは、移動を得意としない動物達でしょう。
以前、ゾッとするほど沢山いたヘビ君達や地面をボコボコにしてくれたモグラ君達は最近ではみなみ台公園や玄海田公園など一部を除いてトントお眼にかかれなくなってしまいました。
先代の愛犬、柴犬のネビ(山陰地方の方言で、小さくて可愛いと言う意味があります)は散歩の途中、「モグラ塚」を見つけると、嬉々として鼻面を突っ込み、掘り返し、モグラ捕獲を試みたものです。ネビに捕まるマヌケなモグラはいなくて、いつも、空振りに終わりましたが・・・。
でも、ネビのチョッカイとは比べものにならない壮絶な生存競争の戦場に、ここ神奈川県がなっているとは全然知りませんでした。
第1期氷河時代に大陸からやってきたアズマモグラが日本列島に広く分布した後、次の氷河期には神戸付近に一回り大きいコウベモグラが侵入してきたそうです。腕力の強いコウベモグラはアズマモグラの生息場所を次々と奪い、東西南北へ勢力範囲を広げ、ついに箱根の山を越えて、神奈川県まで姿を見せるようになりました。さらに、山梨県側から多摩地区を窺がう気配も見せており、アズマモグラは包囲されつつあります。
宅地開発と侵入者のダブルパンチで大ピンチです。がんばるんだアズマモグラ。
アズマモグラ VS コウベモグラ
アズマモグラ
体長 121~159mm
体重 48~127g
性格 温厚
力 弱い
コウベモグラ
体長 125~185mm
体重 48~175g
性格 凶暴
力 強い
現在のモグラ戦争最前線は鎌倉付近で、両者の一進一退の攻防が四六時中繰り広げられていると考えられています。氷河期以来の地中大戦争なんてスケールが大きいこと。
ところで、モグラ君のキャラと言うと、サングラスかけて、ヘルメット被って、スコップ持って、と言うユーモラスなものですが、20年超の開業獣医歴で唯の一度も患者さんとして来院したことはありません。
当院の診療範囲は「イヌ、ネコ、小鳥、ゾウ、ライオン、ついでにオカピもいらっしゃい」と広いのです(嘘)が、獣医学の教科書にもモグラの病気はおろか各種の正常値の記載もありませんので、診察しても検査をしても健康なのか病気なのか判断できないと思います。出来ることはせいぜいケガの応急処置くらいですかね。
多摩動物園、広島の安佐動物公園ではモグラの飼育が行われていて、結構人に懐きやすい、きれい好きな可愛い動物だと紹介されています。でも、餌は生きたミミズや昆虫に限られ、それも1日に自分の体重に近い量を必要とするそうですので、個人での飼育は困難です。迷子のモグラを拾ってもペットにしようとは思わないほうが良いですよ。
モグラはゴルフコースの芝生を持ち上げたり、田んぼの畦などに穴をあけたりして、農家などには迷惑な存在ですが,モグラがいるということは昆虫やミミズなどが豊富で、土地が肥沃である証拠です。
生存権そのものの大ピンチに立たされている、きれい好きで愛嬌のあるモグラ、特にアズマモグラ君と人間が共存できる工夫(一体何が出来るのかな?答えが見つかりません)をこらしたいものですね。